7. F**k it up!! (ファック・イット・アップ)

7. F**k it up!! (ファック・イット・アップ)

課題:わかれ

ジャンル:友情ドラマ

 

人物

エリック(17)ラッパー
マックス(31)エリックの仲間
シンヤ(31)エリックの仲間
ゴールド(31)エリックの仲間
司会者

 

本文

〇テレビ局外観(夜)
 東京湾岸にそびえるテレビ局のビル。

 

〇同・大ホール(夜)
 満員の観客。
 華やかなステージ上に、司会者と出場者たち。
 出場者たちの中にいるエリック(17)にスポットが当たる。
 自信ある表情のエリック。

 

司会者「史上最大のラップバトル、ついに決勝!
 優勝者には、世界的レーベルとの契約が約束されています!」

 

 観客の大歓声。
 舞台脇には審査員席がある。
 レーベルの社長がふんぞり返って座っている。

 

〇同・客席(夜)
 マックス(31)、シンヤ(24)、ゴールド(26)が、客席後方に立って舞台のほうを見ている。
 三人ともタトゥやボディピアス、アクセサリーで飾り、派手な髪形をしている。

 

シンヤ「よし、普段通りでいけよ!」
ゴールド「あの田舎者がここまで来るとはね~」

 

 マックスは硬い表情でスマホを見ている。
 芸能ニュース記事「優勝候補エリックに黒い交友関係?」「契約の足かせか」の文字がある。
 記事の画像には、目線を入れられ素行が悪そうなマックスたちの写真。

 

〇同・ステージ(夜)
 ステージに集められ並んで立っている出場者たち。
 司会者が前に出る。

 

司会者「優勝は、エリック!」

 

 スポットライトがエリックに当たる。大歓声が上がる。
 エリックはトロフィーを受け、レーベル社長と握手する。
 エリックはクールを保とうとしても、口の端が上がってしまう。
 エリックは客席の仲間を探すが、見つけられない。

 

〇同・控室(夜)

 

 トロフィーを持ってエリックが入ってくるが、仲間の姿はない。
 エリックはスマホで電話をする。

 

音声「おかけになった番号は、電源が入っていないか……」

 

 エリックの表情が曇る。

 

〇繁華街の道(夜)
 きらびやかなネオン街の灯りの中を歩くマックスたち3人。

 

シンヤ「結局、こうするしかねぇのか」
ゴールド「リーダー、これからどこ行くのさ?」

 

 マックスはテレビ局の方向の上空を眺める。

 

マックス「まっすぐ、行けるとこまで行くさ」

 

 テレビ局を背にし、歩き始める三人。姿は都会の雑踏に消えていく。

 

〇テレビ局・展望室(夜)
 夜景が一望に見渡せる展望室。
 窓際にエリックが立っている。
 夜景が広がる窓ガラスには、エリックの姿が写っている。
 エリックは右手で目を覆っている。

 

エリック「クソ野郎どもが……」

 

 エリックは左手でトロフィを持ち、だらりと下げている。
 床にはエリックのスマホが転がる。
 スマホの待ち受け画面は笑顔で写る仲間たちの写真が設定されている。

 

(本文ペラ6)

 

講評

スポットライトを浴びるエリックと、夜道を歩く仲間たちの明暗が表現されていて良いですね。